トランシーバーの基本


トランシーバーを導入して業務効率を上げたいと思うけれど、トランシーバーに関する知識が全くなく、どういった用途にどのトランシーバーを選んで使えばいいのか分からない。

そんな方に向けて、トランシーバーの基本を解説するとと共に、業種別におすすめのトランシーバーを選ぶ方法をご紹介いたします。

トランシーバーの基本

トランシーバーとは、電波を使ってコミュニケーションをする機械である無線機を指します。

トランシーバーという言葉は、「無線機」を英語で表していますので、トランシーバーも無線機も同じものを指します。

もともと古くは、送信機であるトランスミッターと受信機であるレシーバーは別々のものでしたが、技術革新により、送信機と受信機を一緒にしてコンパクトにした無線機が登場し、トランスミッターとレシーバーをかけ合わせて「トランシーバー』と呼ぶようになりました。

しかし、日本においてトランシーバーというと、一般的には、無線を使う資格がない人でも使うことができる無線機を指します。

一昔前は誰でも簡単に使えるトランシーバーは存在していませんでしたが、最近は実に様々な種類のトランシーバーが販売されています。

トランシーバーと携帯電話の比較

電波を使って離れた場所にいる人とコミュニケーションをするツールとしては、トランシーバーより携帯電話やスマホのほうが便利です。

誰もが携帯電話やスマホ持っている現代において、わざわざトランシーバーを選択する理由は何なのでしょうか。

トランシーバーのメリットとデメリットを解説していきながら、携帯電話との比較をしていきます。

トランシーバーのメリット

トランシーバー最大のメリットは、チーム内でスピーディに情報が共有できることです。

瞬時に全員が情報を共有

トランシーバーは他の人の通話を聞けるので、今チーム内でどんな活動が行われているのか?

どんな問題が発生しているか?を、チーム全員がリアルタイムで情報共有できます。

携帯電話でもメールやチャットなどを使って、チーム内で情報を共有できますが、メールやチャットは文字を入力する必要があり、文字入力の時間や手間を考えると、必ずしもリアルタイムで情報を共有できるわけではありません。

素早く通話を開始できる

携帯電話で誰かと話をする場合は、話した相手の電話番号を調べて番号を入力し相手が応答するのを待つという流れになります。

これがトランシーバーの場合は、話したい相手に呼びかけるだけで事足ります。

トランシーバーなら、電話番号を調べたりダイヤルしたりする手間はありません。

相手が応答していなくても問題なし

こちらからの呼びかけに相手が応答しない場合でも、応答しないという情報はチーム全体で共有されます。

代わりのメンバーが応答して代理で業務を処理したり、応答しなかったメンバーに他のメンバーから応答していないと連絡されますので、とてもスピーディーに業務を進めるられます。

圏外が無いからいつでもどこでも通話可能

携帯電話やスマホが圏外でも通話ができることもメリットの一つです。

トランシーバーを使う場所は、屋外や郊外が多く、携帯電話の電波が弱いところでの使用が多くなっています。

トランシーバーの場合は、トランシーバー同士で電波をやり取りして通話するので、携帯電話の基地局があるなしにかかわらず通話ができますから、圏外が存在せず、いつでもどこでも通話ができるのです。

トランシーバーのデメリット

トランシーバーのデメリットは、トランシーバー同士で直接電波をやりとりして通話するという仕組みからくる問題が挙げられます。

距離が離れると通話できない

トランシーバー同士の距離が離れると、相手に電波が届かず通話ができなくなります。

トランシーバーの通話可能な距離は、電波の強さが機種により異なりますが、市街地などの一般的な使用環境では以下の通りです。

・特定小電力トランシーバー:200m以内
・デジタル簡易無線:1Km以内
・IP無線トランシーバー:携帯電話と同じ

ただし、屋内や地下などの電波が届きにくい場所では、さらに距離が短くなります。

携帯電話は、混雑している場所や基地局の境目などでは、電波が来ていても通話ができない時が結構ありますが、トランシーバーは、通話可能な距離の範囲内であれば必ず通話できます。

電波を強くするため本体が大きくなる

なるべく遠くのトランシーバーと通話するには電波を強くする必要があります。

そのためトランシーバーは、電池が大きくなり本体が重くなってしまいます。

携帯電話の重さが100gぐらいですが、トランシーバーの場合200gを超えるので、常時手に持って使うのにはちょっと難しい重さです。

トランシーバーの種類

昔のトランシーバーというと、アンテナが長く本体の大きなものか、子供用おもちゃで数十メートル離れると通信できなくなるものか、無線の資格が必要で、仕事やレジャーで手軽に使えるトランシーバーはありませんでした。

しかし最近になって、誰でも使えるトランシーバーが総務省から認可され、誰でも手軽にトランシーバーを使えるようになりました。

今現在、無線の資格がなくても手軽に使えるトランシーバーは、以下の3種類です。

特定小電力トランシーバー

誰でも簡単に使えるトランシーバーの先駆けです。

出力はかなり小さく通信距離は数百メートル程度ですが、免許も届出もいらない画期的なシステムで、今でも店舗や医院、建築現場や工事現場、交通整理などの多くの業務で使われています。

デジタル簡易無線トランシーバー

特定小電力の500倍以上の出力で、到達距離も数キロに達するトランシーバーです。

登録するだけで使える登録局と、許可を得ると使用できる免許局の2種類があります。

登録局は業務以外にもレジャー目的で使用可能で、トランシーバー本体の価格が比較的安価な上にレンタルもあり、誰もが手軽に「使える」トランシーバーとして人気上昇中です。

免許局の使用用途は業務に限られ、しかも重要な業務ではない「簡易的な業務」にしか使用できません。

また、一つのトランシーバーに対して一つの団体にしか免許が与えられないので、レンタルのトランシーバーがありません。

その分利用者が登録局ほど多くはないので、大規模なイベントのときでも電波の混雑を気にすることなく使えます。

IP無線トランシーバー

最近になって登場した、新しい規格のトランシーバーです。

特徴は、通常のトランシーバーのように、トランシーバー同士で電波のやりとりをしているのではなく、携帯電話の電波を利用しているところです。

携帯電話の電波を利用しているので、国内の携帯電話が使えるところであればどこでも使えます。

従来のトランシーバーが苦手としていた、ビルの地下や地下街などでも、電波さえ入っていればどこでも使えます。

ビルや地下街などの警備や、タクシー会社やバス会社の無線システムに有利です。

携帯電話の電波を利用しているので、郊外や山の中では使えない場合が多いので注意が必要です。

トランシーバーの利用シーン

3種類あるトランシーバーのうちどのトランシーバーを選ぶかは、利用シーンで選ぶことをおすすめします。

一つのトランシーバーですべてを賄うのではなく、様々なシーンに応じて適切なトランシーバーをうまく組合させるのがポイントです。

通話距離で選ぶ

トランシーバーは原則としてトランシーバー同士の電波のやり取りでコミュニケーションをしますので、トランシーバー間の距離はとても重要です。

トランシーバーの値段は電波の飛ぶ距離によって大幅に変わるので、短い距離で用が足りる店舗や個人医院でIP無線を使っても宝の持ち腐れです。

事務所内や工場の中などの狭い範囲での通信におすすめのトランシーバー:特定小電力トランシーバ

事務所内や工場などの狭い範囲で使うトランシーバーは、通話距離が短くても使える特定小電力トランシーバーがおすすめです。

価格が安価なので、手軽に導入可能です。

おすすめの機種:ICOM IC-4300

・値段:7,000円前後
・最大通信可能距離:200m

おすすめの理由
コンパクトで操作も簡単なので、誰でも手軽に使えます。

消費電流が少ないので充電の心配をする必要がありません。たとえ電池がなくなったとしても、どこでも手に入る単三電池一本で使用できるので、すぐに入手が可能です。

大規模イベント会場などの比較的広い範囲での通信におすすめのトランシーバー:デジタル簡易無線トランシーバー

大きなイベントになると、複数の会場を使用したり広い空き地で開催されますので、より確実に通信するために、電波の強いデジタル簡易無線トランシーバーがおすすめです。

通話内容に暗号をかけられるので、マニアが多いイベントでも通話内容が漏れず安心です。

おすすめの機種:ICOM IC-DPR7BT

・値段:40,000円前後
・最大通信可能距離:1Km

おすすめの理由
・安心の日本の無線機トップメーカー。
・出力5Wなので数キロメートル先まで通話可能。
・Bluetooth対応でマイク・イヤホンがワイヤレスになる。
・オプションの利用でハンズフリー運用が可能。

全国や都市全体での通信におすすめのトランシーバー:IP無線トランシーバー

移動範囲が広くなる場合は、IP無線トランシーバーがおすすめです。

携帯電話のサービスエリア内であればどこでも安定した通話可能なので、全国どこでも地下街でも使用可能です。

おすすめのトランシーバー:ICOM IP500H

・値段:100,000円前後
・最大通信可能距離:全国で使用可能

おすすめの理由
人口カバー率99%のauの4G LTE(800MHz帯)の回線を使用しているので、日本全国で通話可能です。

IP無線で最小クラスのコンパクトサイズなので、女性でも手軽に携帯できます。

利用シーンで選ぶ

工事現場で使うおすすめのトランシーバー:特定小電力トランシーバー

工事現場では、重機の操作などでトランシーバーが活躍します。

重機のコントロールは誘導員と密接な連携が必要ですから、きめ細かな会話ができるインカムタイプのトランシーバーが有効です。

特定小電力タイプのトランシーバーで同時通話ができる機種は、ヘッドセットを使用するとインカムとして使えるのでおすすめです。

おすすめの機種:IC-4188D

・値段17,000円前後
・最大通信可能距離30m

おすすめの理由
オプションのヘッドセットを使えば、インカムのように同時通話が可能な機種です。

同時通話時は電波の強さが弱くなるので30m程度の距離しか通話できませんが、重機操作の通話には十分な距離です。

同時通話をしない時の通話可能距離は、その他の特定小電力トランシーバーと同じ200mです。

学校で使うおすすめのトランシーバー:特定小電力トランシーバー、デジタル簡易無線トランシーバー

学校でトランシーバーを使うケースは、校内であれば運動会や文化祭などのイベントや校内安全巡視、災害発生時の避難誘導など、遠足などで先頭と一番最後の距離がすごく離れてしまう時などの安全確認など、実に様々なケースがあります。

運動会や文化祭などの、生徒が主体となったイベントでは、生徒が使いやすいよう小型で扱いやすい特定小電力トランシーバーがおすすめです。

校内巡視や遠足などで使用する場合は、少し距離が離れたり屋内で使用するため電波が強い必要があり、デジタル簡易無線がおすすめです。

このように、学校で使うトランシーバーは、イベントにより複数種類のトランシーバーを準備しておくとよいでしょう。

特定小電力トランシーのおすすめの機種:ICOM IC-4300

・売価7,000円前後
・最大通信可能距離:屋外1km、屋内から屋外100m

おすすめの理由
コンパクトで操作も簡単なので、小学生でも手軽に使用可能です。

単三電池一本で使え消費電流も少ないので、充電の心配する必要がなく管理の手間を抑えられます。

デジタル簡易無線トランシーバーのおすすめの機種:ICOM IC-DPR7BT

・売価:40,000円前後
・最大通話可能距離:屋外1Km

おすすめの理由
出力5Wで1Kmぐらい先まで通話可能なので、ハイキングの引率でも安心して使用するできます。

特に本機はBluetooth対応なので、対応オプションを使用すればマイク・イヤホンがワイヤレスになるので、トランシーバー本体をバックの中に入れたままで使用できます。

また、生徒がイベントで使用する特定小電力トランシーバーと同じメーカーなので、オプションの共通化を図れコストを削減できます。

店舗で使うのにおすすめのトランシーバー:特定小電力トランシーバー

店舗では、店内と厨房や倉庫、客引きと店内との連絡用に使うケースが多くなります。

通信距離が短くて済み、また接客ではトランシーバーが目立たないほうがいいので、特定小電力無線トランシーバーがおすすめです。

最近は店舗での使用を意識して実に様々な形状のトランシーバーがありますので、あなたのお店の雰囲気にマッチしたトランシーバーが必ず見つかるはずです。

おすすめの機種:ALINCO DJ-PX5

・値段:12,000円前後
・最大通話可能距離:屋内100m

おすすめの理由
持っているのを忘れるぐらい超小型・軽量、本体をタイピンマイクのように使えるトランシーバーらしくないフォルムで、接客時に違和感がありません。

工場で使うのにおすすめのトランシーバー:デジタル簡易無線トランシーバー

大きな工場内は、トランシーバー間の距離が結構長くなり、また屋内は電波が届きにくいので、電波の強いデジタル簡易無線がおすすめです。

おすすめの機種:ICOM IC-DPR7BT

・値段:40,000円前後
・最大通話可能距離:屋外3Km

おすすめの理由
電波が強いので、大きな工場でも隅々まで電波が途切れません。

また本機はBluetooth対応なので、オプションのヘッドセットをワイヤレスで使うえばコードの引っかかりり事故を防止でき、工場内の安全維持にも貢献します。

町内会で使用するのにおすすめなトランシーバー:デジタル簡易無線トランシーバー

町内会のトランシーバーは普段の町内見回りおよび災害時の見回り用として使用するケースがほとんどですので、町内全体と交信するためには、電波が強いデジタル簡易無線トランシーバーがおすすめです。

デジタル簡易無線の免許局は法人にしか免許がおりませんので、法人化されていない町内会はデジタル簡易無線の登録局を利用しましょう。

免許局も登録局も、日常的な使い勝手はそれほど大きな差はありません。

おすすめの機種:KENWOOD TCP-D551

・値段:30,000円前後
・最大通話可能距離:屋外3Km

おすすめの理由
通信距離は1Km程度と町内全域をカバーするには十分な性能にも関わらず、アンテナ付きデジタル簡易無線で一番コンパクトなので、高齢者でも安心して持ち歩けます。

価格もデジタル簡易無線の中では比較的安価なので、町内会の予算でも安心して購入可能です。

イベントで利用するのにおすすめなトランシーバー:デジタル簡易無線トランシーバー

一般的なイベントは、通信距離が数キロになるケースが多いので、電波が強いデジタル簡易無線がおすすめです。

イベントにより必要なトランシーバーの台数が大きく変動するので、レンタル対応が可能なデジタル簡易無線の登録局がおすすめです。

おすすめの機種:KENWOOD TCP-D551

・値段:30,000円前後
・最大通話可能距離:屋外3Km、屋内1階から4階程度

おすすめの理由
アンテナ付きデジタル簡易無線で一番コンパクトだから、女性でも苦労せずに持ち歩くけます。

コンパクトだけど電波が強いので、大きなイベント会場でも隅々まで通話ができます。

運送業にオススメのトランシーバー:IP無線

運送業はサービスエリアが広いので、携帯電話が使える場所ならどこでも使えるIP無線トランシーバーがおすすめです。

運転中に携帯電話やスマホを使っていると道路交通法違反ですが、トランシーバーの場合、トランシーバー本体ではなくマイクを使う通信は道路交通法違反になりません。

運転中に頻繁に通話する運送業には、IP無線トランシーバーしかないと言っても過言ではありません。

おすすめの機種
導入は、業務用無線機販売代理店経由となります。

GPSを利用した車両管理システムなどと合わせて導入すれば、さらにトランシーバー導入効率が向上しますので、販売代理店へご相談ください。

導入費用

トランシーバーの単価は、携帯電話やスマホとは比べ物にならないくらい高価です。

各トランシーバー1台に必要な金額の目安は、以下の通りです。

この金額より安価に購入できるトランシーバーもありますが、日本で使えない違法なトランシーバーだったり、性能が極端に悪いものだったりするので注意が必要です。

本体
・特例小電力無線トランシーバー:7,000円〜12,000円
・デジタル簡易無線 登録局:40,000円前後
・デジタル簡易無線 免許局:90,000円前後
・IP無線:100,000円前後

本体以外に必要な費用
・デジタル簡易無線:電波利用料400円(1年間)
・IP無線:基本利用料2,000円(1ヶ月)

トランシーバー選びには事前知識が必須!

トランシーバーを仕事に活かせば、全員で情報を素早く共有できるので、業務効率と顧客満足度の向上が可能です。

あなたの職場の業務効率向上のため、ぜひトランシーバーを導入してみましょう。

全員がトランシーバーを持つのが理想

業務効率向上のためには、全員がトランシーバーを持つことが理想です。

しかし、デジタル簡易無線トランシーバーは1台400,000円程度とかなり高額です。

10台揃えるとしたら、400,000円もかかります。

しかし、通話範囲を数百メートルに狭めて特定小電力トランシーバーを利用するようにすれば、10台用意しても合計で70,000円程度で済みます。

距離や利用シーンに応じてトランシーバーの種類を使い分ければ、トランシーバーを関係者全員に配布できます。

レンタルを活用して全員がトランシーバーを持つ

レンタルであれば、高価なデジタル簡易無線も、一泊二日で3,000円程度で用意できます。

レンタルであれば、高価なデジタル簡易無線も、関係者全員が利用できます。

イベントなどで、多数の人が関わる場合はレンタルを活用して、必要台数のトランシーバーを調達しましょう。